2019年追記:数年で状況がいろいろ変わっていたようなので、情報をアップデートしました。
ANAやJALのようなレガシーキャリアは、飛行機に乗った回数や距離に応じてステータスが認定され、いろいろな優遇を受けることができます。
ラウンジに入れたり、マイルが多くもらえたり、優先レーンが使えたり、アップグレードされたり、良い座席を指定できたりと、至れり尽くせりといった感じです。
しかし、ステータスは達成してから1-2年程度しか保持できません。ステータスを維持し続けるためには、毎年いっぱい飛行機に乗らなければなりません。
ところが、ANAはSFC、JALはJGCという、終身上級会員資格があります。
これは、いったんステータスを達成すれば、年会費1万円程度の会員専用クレジットカードを持っているだけで、ずっとステータスを持っている時とほぼ同じ優遇が受けられるというものです。
いわゆるSFC修行とかJGC修行というのは、このクレジットカードを作ることを目的に、1年間頑張って飛行機に乗ることを指します。
ステータスは基本的に飛行機に乗って初めて優遇が受けられるものですから、通常修行を行うのは、飛行機によく乗る人達です。
出張や旅行で飛行機によく乗るけれど、ステータスを得るには足りない、、、という場合に、不足分を補うのが普通なわけです。
もともとよく乗る人達なので、年会費1万円を払っても、十分元が取れると言えるでしょう。ぜひ修行をするべきです。
ところが最近は、普段あまり飛行機に乗らない人もSFC修行やJGC修行をするケースが増えているようです。管理人もほとんど乗らないのにJGC修行しました。(その4年後にSFC修行もしました。)
あまり飛行機に乗らないのに、数十万円払って修行して、年会費1万円を払い続けるのは損だと思うかもしれません。
そこで、飛行機に年数回しか乗らない人向けの「実質維持費」というものを計算してみることにしました。また、実質維持費を比較することで、SFCとJGCのどちらを取得するべきか?という疑問の答えが見えてきます。
モデルケースは、以下の3つです。
- モデルケース①:飛行機に全く乗らない人(年間0搭乗、0区間マイル)
飛行機に全く乗らない人です。年間0搭乗、0区間マイルです。
- モデルケース②:帰省や旅行で年2回国内線に乗る人(年間4搭乗、1000区間マイル)
毎年2往復するだけの人です。東京大阪なら、年間4搭乗で1000区間マイルくらいですね。
- モデルケース③:②+5年に1回欧米旅行に行く人(②+5年で2搭乗、12000区間マイル)
②のケースに加えて、たまーにアメリカかヨーロッパに行く人です。頑張って修行しようという人は、このケースが一番多いかもしれませんね。
それでは、SFCとJGCの実質維持費を見ていきましょう。
◇SFCの実質維持費
SFCの最安維持費は、税込9477円です。
詳細は割愛しますが、ANA VISA SFCカードに「マイ・ペイすリボ」と「WEB明細」を適用することで、この最安維持費が実現できます。
一方、SFC会員が受けられるサービスで、お金に換算しやすいものは以下になります。
- 2000マイル/年(通常カードは1000マイル)
- アップグレードポイント4ポイント/年(4000スカイコインに交換可能)
- フライトマイル+35%(通常カードは+10%)
- 500マイル/年(カレンダーと手帳を断った場合)
- マイル→スカイコイン移行レート1.6倍(通常カードは1.5倍)
それぞれ見ていきましょう。
1.2000マイル/年(通常カードは1000マイル)
SFC会員なら毎年1000マイル多くもらえるということですね。1マイル1.5円とすれば、1500円分の価値になります。
追記:年会費無料のカードでも1000マイルもらえますから、ここではSFCで多くもらえる1000マイルだけを還元額と見なしています。
2.アップグレードポイント4ポイント/年(4000スカイコインに交換可能)
年に1回以上乗るともらえます。アップグレードポイント4ポイントは、国内線プレミアムクラス(通常8000円~)へのアップグレードに相当します。乗らない場合は4000スカイコインに交換できますので、1スカイコイン1円とすれば、4000円分の価値になります。
3.フライトマイル+35%(通常カードは+10%)
SFC会員なら、通常カードと比べてフライトマイルが+25%になるということですね。乗らないなら無価値ですが、乗るなら頻度に合わせて価値計算するべきでしょう。
4.500マイル/年(カレンダーと手帳を断った場合)
SFC会員は毎年カレンダーと手帳がもらえますが、両方とも断った場合は500マイルがもらえます。1マイル1.5円とすれば、750円分の価値になります。
5.マイル→スカイコイン移行レート1.6倍(通常カードは1.5倍)
数万マイルを一気に交換する必要がありますので、あまり乗らない人はこの恩恵に預かるのは難しいかもしれません。逆に、陸マイラーでマイルが有り余っている方には一番大きい特典になります。
それでは、モデルケースにあてはめてみましょう。
モデルケース①:飛行機に全く乗らない人(年間0搭乗、0フライトマイル)
SFC会員であるというだけでカード特典1000マイルとカレンダー不要特典の500マイル、合計1500マイルが余計にもらえます。
つまり、飛行機に全く乗らなくてもだいたい2250円分はバックされるということですね。
SFCの実質維持費はだいたい7000円ということになります。やはり、1回も乗らないようだと少し渋いですね。
※スカイコインは有効期間1年で飛行機にしか使えませんので、少なくとも2年に1回は飛行機に乗らないと無価値です。しかし、ANAならなんでも良いので、ハードルは低いでしょう。
モデルケース②:帰省や旅行で年2回国内線に乗る人(年間4搭乗、1000フライトマイル)
上記の2250円分に加えて、アップグレードポイント4ポイントとフライトマイルが200マイルほど多くもらえます。
(1000区間マイルx予約クラス補正75%x25%ボーナスとして計算)
1マイル1.5円として、6550円ですね。結局、実質維持費は3000円です。
モデルケース③:②+5年に1回欧米旅行に行く人(②+5年で2搭乗、12000区間マイル)
上記の6550円分に加えて、フライトマイルが5年に1回1500マイルほど多くもらえます。
(12000区間マイルx予約クラス補正50%x25%ボーナスとして計算)
1年あたりに換算すると300マイルですので、450円分。実質維持費は2500円と、ほとんど変わりませんでした。
以上、3つのケースを表にまとめました。
①全然乗らない人 | ②国内線年2往復 | ③+5年に1回国際線 | |
基本マイル | +1000マイル | +1000マイル | +1000マイル |
アップグレードポイント | なし | 4000コイン分 | 4000コイン分 |
ボーナスマイル | なし | 200マイル程度 | 500マイル程度 |
カレンダー分マイル | 500マイル | 500マイル | 500マイル |
総還元額 | 計2250円分 | 計6550円分 | 計7000円分 |
実質維持費 | 7000円 | 3000円 | 2500円 |
結局、年1回以上乗る人のSFCの実質維持費は3000円くらいということですね。1マイル2円と見なしても、結果はほとんど変わりません。
この実質維持費が、ラウンジを使えたり、優先レーンを使えたり、アップグレードされたり、良い座席を選べたり、という優遇に見合うか。これが、個々人が修行をする価値があるかどうか判断する材料になるでしょう。
個人的には、国内線ラウンジは1回500円、国際線ラウンジは1回2000円くらいの価値はあると思っています。優先チェックイン・優先手荷物受取は、正直無いと耐えられません。管理人的には、モデルケース②以上であれば十分ペイすると感じます。
追記:スカイコインは1年間の有効期限がありますので、少なくとも2年に1回は乗らないと4000コイン分のアップグレードポイントが無駄になってしまいます。が、スカイコインは2親等以内の家族の航空券の購入にも充てられますので、必ずしも自分が乗らなくても大丈夫です。
追記:陸マイラーの方は、ソラチカカードでANAマイルが年20万マイルくらい貯まる方も多いと思います。その場合は、スカイコイン交換の1.6倍ボーナスが効いてきます。通常より10%多くなりますので、全部スカイコインに交換するなら20000スカイコイン多くもらえることになり、異常におトクと言えます。陸マイラーは必ずSFC修行をしましょう!
◇JGCの実質維持費
JGCの最安維持費は、税込10800円です。
JGC会員が受けられる、お金に換算しやすいサービスは以下があります。
- 毎年初回搭乗時5000マイル(通常カードは1000マイル)
- フライトマイル+35%(通常カードは+10%)
- 1500eJALポイント/年(手帳とカレンダーを断った場合)
それぞれ見ていきます。
1.毎年初回搭乗時5000マイル(通常カードは1000マイル)
SFCと違って、毎年初回搭乗時という条件が付いています。1年に1回も乗らない人は、もらえないということです。SFCのアップグレードポイントに相当する特典と言えますが、使いやすくて期限の長いマイルがもらえる分、JGCの方が条件が良いですね。
通常カードは1000マイルですので、JGCなら4000マイル多くもらえるということですね。
2.フライトマイル+35%(通常カードは+10%)
これはSFCと同じです。
3.1500eJALポイント/年(手帳とカレンダーを断った場合)
JGCの場合は断ると1500eJALポイントがもらえます。eJALポイントはANAのスカイコインに相当するもので、JALの航空券やツアーの料金に充当できます。
1500eJALポイントの内訳としては、手帳が1000eJALポイント分で、カレンダーが500eJALポイント分です。正確にはカレンダー自体はJGC会員でなくてもCLUB Aカード会員ならもらえるので、500eJALポイント分はJGC会員特典というわけではありません。ただし、JGC会員でないならCLUB Aカードを持つことは普通ありませんので、カレンダー分の500eJALポイントもJGC会員特典に含めて計算しています。
それでは、モデルケースにあてはめてみましょう。
モデルケース①:飛行機に全く乗らない人(年間0搭乗、0フライトマイル)
毎年1500eJALポイントがもらえるだけですので、実質1500円還元。
JGCの実質維持費は、ほぼ年会費そのままの9300円です。SFCよりも渋いですね。
モデルケース②:帰省や旅行で年2回国内線に乗る人(年間4搭乗、1000区間マイル)
毎年初回搭乗時に4000マイル多くもらえることになります。SFCと同様にフライトマイルボーナス分で200マイルほど入りますので、①に加えて4200マイル還元です。1マイル1.5円計算なら6300円分ですね。
実質7800円還元となりますので、JGCの実質維持費は3000円です。SFCと同様、年1回必ず乗ることが大切ですね。
※JALは10000マイルを15000eJALポイントに交換できますので、1マイル1.5円としました。しかし、3年の有効期限内に10000マイル貯まらない場合は、1マイル1円程度にしかならないことに注意して下さい。
モデルケース③:②+5年に1回欧米旅行に行く人(②+5年で2搭乗、12000区間マイル)
SFCと計算は同じで、更に1年あたり300マイル多く貯まります。JGCの実質維持費は2550円ということになります。
こちらも、表にまとめました。
①全然乗らない人 | ②国内線年2往復 | ③+5年に1回国際線 | |
毎年初回搭乗マイル | なし | +4000マイル | +4000マイル |
ボーナスマイル | なし | 200マイル程度 | 500マイル程度 |
カレンダー分マイル | 1500eJALポイント | 1500eJALポイント | 1500eJALポイント |
総還元額 | 1500円分 | 7800円分 | 8250円分 |
実質維持費 | 9300円 | 3000円 | 2550円 |
JGCの場合は、飛行機に全く乗らないケース①では非常に実質維持費が高額になることが分かりました。毎年必ず乗る人でなければ、JGCはオススメできません。引退後に飛行機に乗らないとか、帰省は新幹線とか、子供が小さく旅行ができないとか、そういう事情のある方は乗らなくても少しは還元されるSFCの方が良いでしょう。
一方、毎年コンスタントに乗るケース②と③であれば、実質維持費は3000円程度とSFCと同等です。SFCが基本的にスカイコイン付与なのに対して、JGCはマイル付与なのもポイントです。1マイルに2円の価値を見出せる人は、実質維持費はほぼ無料になります。
これがラウンジや優先レーンに見合うかどうかが、修行をするべきかどうかの一つの判断基準となります。管理人的には、モデルケース②以上であれば十分ペイすると感じます。
追記:JALはANAでいうソラチカカードがありませんので、陸マイラーとの相性はそれほど良くありません。しかし、陸マイラーのライバルが少ない分、JALは特典航空券が取りやすいと言われています。フライトでマイルを貯める空マイラーの皆さんは、JGCの方が使いやすいかもしれませんね。
結論です。
・SFCの場合は、乗らないと7000円。毎年乗るなら実質3000円。
・JGCの場合は、乗らないと9000円。毎年乗るなら実質3000円。
・スカイコインやマイルを使うための最低限の搭乗(少なくとも2年に1回)は必須。
SFC | JGC | |
全然乗らない年の維持費 | 7000円くらい | 9000円くらい |
乗った年の維持費 | 3000円くらい | 3000円くらい |
還元の種類 | 基本的にスカイコイン
(有効期限1年・延長不可) |
基本的にマイル
(有効期限3年) |
向いてる人 | 乗らない年がある人
ただし、家族も含めて全然乗らないとコインが無駄になるので注意。 |
毎年乗れる人
マイルがもらえるし、予約も取りやすいので、特典航空券を使う人はこっち。 |
SFCでもJGCでも、毎年1回でも乗るなら実質年会費に十分ペイするサービスが受けられます。どちらが良いかは好みもありますが、陸マイラーはSFC、空マイラーはJGCがオススメです。
ただし、修行にかかる数十万円にペイするかどうかは、個々人が非金銭的なサービスにどれだけの価値が見出せるかにかかっていそうです。
管理人としては、今後の人生で100回くらい国内線に乗るか、10回くらい海外に行くつもりがあるのならば、修行代もペイすると感じます。
人生全体で見れば、決して高いハードルでは無いかもしれませんね。